親族で話し合いのうえで生前整理を行って葬式を出す場合も
親族の誰かが高齢などでお別れのときが近づいていて、その人に配偶者、つまり妻や夫がおらず、子供もいなかったときは、葬式の進め方、財産の処理などについて、関係する親族の間で、あらかじめ方向性を定めておくのが望ましいと考えられます。
よくあるのは親兄弟とは死別し、甥や姪はいるものの、当人と、あるいは従兄弟同士も面識があまりなく、いわばお見合い状態になることです。
相続では兄弟姉妹には遺留分がなく、遺言を作成すれば当人の思い通りに遺産を分配することもできます。しかし、葬式やその後の諸手続き、納骨などを考えれば、誰かが中心となって事前に話し合いを行い、住まいや財産についての生前整理なども含めた方針を固めておくと、当人も安心できます。
話し合いを行うには、すべての法定相続人を調べて連絡を行うのが望ましいです。しかし遠隔地であったり、そもそも縁があまりない場合には関わり合いたくない場合もありますので、もし葬式にも出ないし相続財産も求めないという場合には、その旨を文書でもらっておいて、話し合いのグループから外せば、関係する親族の人数を絞り込めます。
関係者を絞ったところで、可能なら当人の意向も踏まえて、生前整理の範囲や遺産相続の方向性を固めます。最も望ましいのは法定の手続きを経た遺言の作成ですが、主要な関係者の間である程度の合意があるのとないのとでは、いざというときの対応が変わってきます。
生前整理は、まさに当人の存命中の行為なのであくまで当人の意思がすべてです。当人の意向に沿って行った対応という認識が関係者の間で共有されていることが大事で、実際に何かを処分・換金などするにしても、あとで揉めたりしないために特定の親族が単独で行動することのないよう注意します。
値打ちのあるものが無くなっていてあれはどうなった、というようなことがあとで起こらないように、財産の目録を作ってその処置の経緯などをまとめておけば、葬式のあとの話し合いもスムーズに進みます。
気苦労の多いプロセスではありますが、やはりなるべく当人との距離が近い親族がまとめ役となり、関係する親族がその人に協力しながら、生前整理・葬式等を進める合意を作っていく努力を行うべきでしょう。
親族の生前整理で魔が差すときの対処法
親族の生前整理を行っているとき、欲しいものが出てきたら魔が差すということもあるでしょう。しかし魔が差したからといって、無断で自分のものにしてしまうとトラブルに発展する可能性もあります。
値打ちのないものなら見逃してもらえることもありますが、評価額が高いものの場合には、遺産相続の際に面倒なことになるかもしれません。面倒なトラブルを避けるためにも、魔が差したとしても冷静に対処することが親族の生前整理を手伝う際のコツです。
また生前整理中に気になるものがあったら、黙って自分のものにするのではなく、親族に相談することが大切です。生前整理中であれば、所有者である本人に譲ってもらえないか直接交渉することも可能です。
ただし価値のあるものを生前贈与という形で譲ってもらう場合には、遺産相続の際に親族間でもめることもあります。値打ちのあるものを譲ってもらうのであれば、遺産の取り分でもめないようにする工夫も必要です。
そして生前整理や遺品整理の際には、所有者との思い出などの関係から、親族間で欲しいものがかぶってしまうこともあるでしょう。親族同士でもめる可能性があるものだと、魔が差して無断で自分のものとして持って帰ってしまうこともあるかもしれません。
ですが思い出の品の場合には、ほかの親族が存在を覚えていて無断で持っていったことがバレるリスクもあります。バレると自分の立場が悪くなるので、魔が差しても無断で持ち出さないようにすることが大切です。
もちろん思い出の品に限らず、価値も低いものであっても、勝手に遺品を持って行ったという場合には、バレたときに立場が悪くなります。立場を悪くしないためにも、魔が差しても耐えることが大切と押さえておきましょう。